梅雨に気を付けたい感染症
梅雨真っ只中、連日天候のすぐれない日が続きますね…
梅雨に気を付けたい感染症も、もちろんあるんです。
先月見逃されたかたは、バックナンバーをチェックしてみてください。
梅雨になると急増! 4人に1人を悩ませる「水虫」のメカニズム
さて、令和元年の梅雨明け予測(速報値)をみると、7月21日とありました。昨年対比で、約3週間遅れて明けるという予測。まだまだ続きます…。
夏が、待ち遠しいですね!
![]() |
監修
防衛医科大学校 防衛医学研究センター 加來 浩器 教授 |
令和の幕開けは、例年になく真夏日が連続しました。この調子だと真夏の暑さ、いったいどうなってしまうんでしょう…夏好きもそうではない人も、さすがにもううんざりですね。
さて、アツイ夏のオアシスといえば…
そう、やっぱり
プール
ですよね!
6月はプール開きの季節。園や学校では、続々とプール開きが行われているようです。プールの日を楽しみにしているお子さんも多いのではないでしょうか。オトナにも、SNS映えするナイトプールなどが、若い女性を中心に人気があるようです。
しかし!
感染症の脅威から皆さんをまもりたい我々が、プールの楽しさを論じたりしません(笑)
プールはワクワク楽しみな反面、じつは感染症に注意が必要なんです。そこには、なんといっても感染症が成立しやすい「3つの条件」がそろっているのですから…
さて、その3つの条件とは…?
感染症が成立する3つの条件
感染症が人から人へとうつり、発症するまでには次の「3つの条件」がそろう必要があります。
これら3つの条件がそろいやすい場所、それがプールなのです!
感染源がある
⇒元気な子供に人気のプールですが、病気の潜伏期間中の人(発病する前)や、無症状であっても細菌やウイルスなどの病原体を保有している人(無症状病原体保有者)が利用していることがあります。まさに感染源となるわけです。
感染経路を通して病原体が広がる
⇒プールには限られたスペースに多くの人が密集するため、咳やくしゃみなどの飛沫による「経気道感染」のリスクが高まります。また、プール内では他人の体液に汚染された水の経口摂取による「経口感染」や、タオルやビート版を介した「接触感染」が成立しやすいといえるでしょう。
病原体に対して感受性の高い人がいる
⇒夏は屋内外での気温差が激しいため自律神経が乱れやすく、さらにプールで体力を消耗することで抵抗力(自然免疫)が低下する人が増えます。
このように、プールには感染症が成立しやすい条件がそろっているのです。
プールの水から感染症がうつる可能性は?
とはいえ、プールの水を介して感染症がうつる可能性は…
「低い」
といえます。
それは、皆さんもご存知の通り、国内のプール施設では病原体を無害化する効果のある「塩素」が含まれているからです。
プール内の塩素濃度は、法律や条例で厳しく定められており、プール管理者は遵守することが義務づけられています。
厚生労働省の基準
・プール内の塩素濃度は0.4mg/L 以上、1.0 mg/L以下であること
・濃度がプール内で均一になるよう、注入口数や注入位置を調整すること
・少なくとも毎日午前中に1回以上、かつ午後に2回以上
(このうち1回は、遊泳者数のピーク時に)塩素濃度の測定を行うこと
ただし、塩素は、
晴天日や紫外線が強い日には10分間に0.1~0.2mg/L消失する
ともいわれています。そのため、基準以上のこまめな管理が必要とされているのです。これらの基準がプール管理者によって守られていれば、プールの水を介して感染症にかかる可能性は少ないといえます。
プールでうつりやすい感染症は?
夏の時期に流行る咽頭結膜熱(プール熱)や手足口病、ヘルパンギーナとともに、
伝染性軟属腫(みずいぼ)
伝染性膿痂しん(とびひ)
といった皮膚の感染症も、プールでうつりやすい感染症なのです。今回は「伝染性軟属腫(みずいぼ)」と「伝染性膿痂しん(とびひ)」ついて、ご説明していきます!
伝染性軟属腫(みずいぼ)
伝染性軟属腫(みずいぼ)は、皮膚の表面に小さなブツブツがたくさんできるウイルス性の病気です。
画像引用:伝染性軟属腫- Wikipedia
健康な子どもの場合、6ヵ月~3年で自然に治ると考えられていますが、個人差が大きく、いつ治るかを予測することは困難だともいわれています。
筆者の娘も3歳のときに罹患しましたが、その治療はとても厄介なものでした…というのも、手術の前に、患部にテープを貼って1時間かけて麻酔を行いますが、その間、体は元気な幼い彼女と、病院の待合室にいなければなりませんでした。そして、手術の方法は、みずいぼを、ひとつひとつ専用の器具でつまみ取っていくというもの。幼い子どもがそれにどう反応したかは…もうお分かりですよね。
それでは、以下の表1で具体的にご説明していきます。
以上が「みずいぼ」についてのご説明でした。
続いて、プールで流行りやすい2つ目の皮膚感染症「伝染性膿痂しん(とびひ)」についてです。
伝染性膿痂しん(とびひ)
伝染性膿痂しん(とびひ)は、1~2mmの水泡ができ、それが数日後には指先ほどの大きさに増大し、ペロッと皮膚がむけたり、厚いかさぶたができる細菌性の感染症です。
一か所で発症すると、複数か所にも同様の症状が発症、通常の湿疹やあせもなどとは違う病気だということに気づきます。
じつは筆者の娘は、この「とびひ」にも2歳直前にかかりました…。「いたい!いたい!」と泣きわめくこともあるくらい本人にとっても辛い病気で、その患部は、もう見るからに痛々しい状態…。薬を塗り重ね、ガーゼで覆い、テープを貼り…という工程を何度も何度も繰り返し行わなければなりませんでした。
それでは、同様に以下の表2で詳しくご説明します。
以上、「とびひ」についてのご説明でした。
「みずいぼ」も「とびひ」も、乳幼児がかかりやすい皮膚の感染症ですが、免疫力が低下していると大人が感染することがあります。夏は体力も消耗しやすいので、あまり無理をせず、お子さんやご自身の体長に気を配りながら過ごしてくださいね!
皆さんのプールライフが快適なものになりますように!
■参照情報
<プールの衛生管理について>
多摩小平保健所 保健対策課 感染症予防について
<伝染性軟属腫(みずいぼ)について>
<伝染性膿痂しん(とびひ)>