相次ぐ「史上最大級・未曾有の●●災害」。自分や家族を護るには、正しい知識から!

このたびの台風の被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
被災された皆様が、一日も早く平常の生活に戻ることができますようお祈り申し上げます。

自然の力に恐怖し、人の無力を痛感する大規模な自然災害。そんな災害が、大型台風を筆頭に本年はニュースに事欠きません。

いったい、地球に何が起きてるのでしょうか。
原油の採掘、森林の伐採、等々…。残念ながら、思い当たることは十指では足りません。なかでも、日本の国土は災害を集中しやすい環境と言えます。

とはいえ、日本は私たちにとって、とても大切なふるさとです。災害があるからといって、ただちに海外へ移住というわけにはいきません。

自然災害とは上手に付き合っていくしかないのです。肝心なことは、

「災害が起きたときに、自分や家族の命を守れるかどうか」

です。
平成30年7月豪雨では、避難勧告が出ていたにも関わらず、避難せずに亡くなってしまった方が大勢おられるそうです。その背景には、

「まさか、自分が被災者になるとは思えない」

といった認知バイアスや、市町村側の情報伝達の課題などもあったようですが、避難することの大切さを改めて痛感する教訓となりました。

南海トラフ地震や首都直下型地震は、いつ起こってもおかしくないといわれています。

今月号では、災害後に必要な知識のひとつとして、「避難所で注意すべき感染症」について詳しく情報発信させていただきます。

  監修

 防衛医科大学校 防衛医学研究センター
 広域感染症疫学・制御研究部門

 加來 浩器 教授

 

避難所という存在

日本の災害基本法では、避難所を以下のように定義しています。

避難のための立退きを行った居住者などを、避難のために必要な間滞在させ、または自ら居住の場所を確保することが困難な被災した住民、その他の被災者を一時的に滞在させるための施設。

(災害対策基本法 第49条)

災害時、注意しなければならないのは発生時だけではなく、避難所での生活も問題視されているのです。

2016年の熊本地震においては、

「建物崩壊などによる直接死」が50人
に対して、
避難所生活での疲労等による震災関連死が215人
にも上った

というデータがあります。

ちなみに、避難所というと、

体育館などの狭い空間に人が密集し、雑魚寝で過ごす

こんなイメージではありませんか?
じつは、このスタイルが一般的なのは先進国の中では日本だけ…。
(※既に改善が進んでいる地域もあります)

避難所での生活は、疲れがたまりやすいのみならず、感染症が成立し易い条件が揃っていると言えます。 それに、避難所には高齢者、乳幼児、妊産婦など災害弱者がおられるので、感染症対策が重要です。

災害時の避難所では、手洗い用や水洗トイレ用(トイレ下水配管が使えることが確認後)は手に入っても、口にできる水には制約があります。また、調理場、ゴミ置き場などの衛生施設が充分でないことも珍しくありません。

では、避難所生活を送らなければならなくなったら、どのような感染症に注意が必要なのでしょうか?

感染症が成立しやすい日本の避難所生活

日本国内では、上下水道の整備やワクチン施策の充実といった公衆衛生の基盤が整備されており、感染症の発生がある程度おされられている状態といえます。ところが、堤防の決壊による床上浸水、下水施設の破綻、衛生害虫の発生などが起こると、感染症が増加する要因となります。また避難所での集団生活が長期化すれば、感染症のリスクが高まると言えるでしょう。

公衆衛生基盤の破壊による感染症の増大
日本環境感染学会
「大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き」

日本の避難所では、感染症が成立するために必要な3つの条件がそろっています。

<感染症が成立するための3条件>
① 病原体(感染源)
② 感染経路
③ 感受性のある人

これら3つの条件と、日本の避難所生活を照らし合わせながら見ていきましょう。

感染症が成立するための3つの条件

一方で、欧米では健康被害を防ぐ観点から、災害発生から3日内には簡易ベッドが用意され、家族単位のテントで避難生活を送るのが一般的です。食事も、調理してすぐ提供するのが安全で温かく、美味しいという観点から、災害ボランティアに登録するプロのコックが用意します。
(※日本でも多くの避難所で簡易ベッドが導入されていますが、課題は山積みのようです)

避難所で注意したい感染症、予防と対策

では、避難所ではどんな感染症に注意が必要なのでしょうか?

東日本大震災の際には、インフルエンザや感染性胃腸炎(ノロウイルス感染症)などが避難所で流行しました。近接して生活することを余儀なくされる避難所では、呼吸器系感染症の流行に対して脆弱です。
当該震災時では、インフルエンザが同一避難所の複数の建物に、急速に広がる事例が報告されています。
(※インフルエンザは、うがいの効果がはっきりと証明されていません)

避難生活で注意したい感染症と、その対策について、以下にまとめてみました。

避難所で注意したい感染症と対策

以上、避難所生活で注意したい感染症一覧でした。
たくさんありますね…。

ワクチンで予防できる感染症に関しては、くれぐれも平常時に接種しておくことをおススメします。 備えあれば憂いなし、ですね。

また、避難所でタオルを共用しないことは、とびひ以外にも、結膜炎予防にも非常に重要です。歯磨きを含む口腔衛生が悪化することによる、誤嚥性肺炎(※)や虫歯といった症状にも注意が必要です。

(※唾液などを飲み込むことを嚥下(えんげ)といいますが、健康な人であれば、嚥下すると口から食道を通って胃に入っていきます。しかし、嚥下機能が低下すると、食べ物などが口から気管に入ってしまいます。これが誤嚥(ごえん)です。誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や食べ物などと一緒に誤嚥され、気管支や肺に入ることで、炎症を発症する疾患です。)

感染症を流行させないために一人ひとりができること

共同生活を行う避難所では、感染症を拡大させないよう、一人ひとりが心がけることが大切。
「避難所における感染対策マニュアル」より、予防法を抜粋してお伝えします。

避難所における感染症の予防法

以上、避難所で心がけたい感染症の予防法でした。
防災バックの中に、手指消毒液、マスク、サランラップは必須ですね!

被災地でのボランティアをお考えのかたへ

これまでのように、被災地においては、水系・粉塵曝露を原因とした感染症や避難所での密集した集団生活による感染症が流行するリスクがあります。ボランティアで被災地・避難所へ向かわれる方には、主に感染症予防(特に持ち込みおよび自身の罹患の予防)という観点から、国立感染症研究所で発信されている、以下のページをご一読いただき、予防を心掛けてください。ご自身のためだけでなく、感染拡大を防ぐためにも大変重要です。

ボランティアに行かれる際にご留意いただくこと

(国立感染症研究所 感染症疫学センター)

以上、今月号では自然災害時の避難所に焦点をあて、そのリスクと対策について書かせていただきました。少しでも読者の皆様の参考にしていただければ幸いです。

参考資料

日本環境感染学会「大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き」

内閣府「1 災害を受けやすい日本の国土」

「避難所のあり方、海外との比較」避難所・避難生活学会理事長 榛沢 和彦氏

「「東日本大震災―地震・津波後に問題となる感染症― Version 2」」日本感染症学会

国立感染症研究所

東北感染制御ネットワーク「避難所における感染対策マニュアル」

日本感染症学会「震災と感染症」

厚生労働省「FORTH」

厚生労働省「分かりやすい ウイルス性肝炎 – ウイルス肝炎研究財団」

NHK「避難所生活で知ってほしい」

全日本民医連「特集 避難所を考える」

令和元年 防災白書

朝日新聞「災害関連死を防ぐ合言葉TKB 過ごしやすい避難所とは」

広島ニュースTSS「【広島から伝えたい】水道復旧に動いた父が死亡、うわさに苦しんだ息子 「災害関連死」を知らない人へ」

HUFFPOST「東日本大震災、体育館避難所で起きたこと」

中央防災会議「災害時の避難に関する検討課題」

感染症TODAY「大規模災害と感染症」

社会福祉法人恩賜財団済生会 誤嚥性肺炎

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